条件を入力してシミュレーション
iDeCoも一緒に受け取る場合(任意)
iDeCoを一時金で受け取ると退職所得になります。2024年の改正で、退職金とiDeCoは それぞれの加入期間にもとづく退職所得控除を使えるようになりました。 受け取り方によって税額が変わるので、入力すると3通りを比べて表示します。
退職金相場の目安(平均)
※自己都合退職の場合、実際の退職金は相場より10〜30%低くなる場合があります。また本データは統計的参考値であり、実際の退職金は社内規程によります。
退職所得控除・税金の内訳
iDeCoの受け取り方による違い
※年金受取の税額は概算です。受給期間20年・65歳未満の公的年金等控除(60万円)で計算しており、 公的年金や他の所得と合算すると税額は変わります。実際の判断は社会保険料への影響も含めて 税理士等にご確認ください。
退職金内訳グラフ
勤続年数別の退職金相場推移
使い方
- 「勤続年数」をスライダーまたは数値入力で設定します(1〜45年)
- 「最終学歴」で大学・大学院卒か高校・専門卒かを選択します
- 「業種」と「会社規模(従業員数)」をそれぞれ選択します
- 「退職金を試算する」ボタンを押すと、相場の目安・控除額・税金・手取り額が表示されます
- グラフで手取り額・税金・控除の内訳と、勤続年数別の推移を視覚的に確認できます
退職金相場シミュレーターについて
本ツールは厚生労働省「令和4年(2022年)就労条件総合調査」のデータをもとに、勤続年数・学歴・業種・会社規模から退職金の相場を試算します。退職所得控除(勤続20年以下: 40万円×勤続年数、20年超: 800万円+70万円×(勤続年数−20年))を適用した課税退職所得と、所得税・住民税を差し引いた手取り金額の目安も算出します。転職・定年退職の計画を立てる際の参考としてご活用ください。
退職金の額は業種・会社規模・職種・退職理由(自己都合か定年か)によって大きく異なります。本シミュレーターは統計データに基づく概算であり、実際の退職金額は勤務先の退職金規程によって決まります。正確な金額は勤務先の人事部門にご確認ください。
ケーススタディ:3つの条件で試算結果を読み解く
数字を並べるだけでは「で、自分はどうなのか」がわかりません。ここでは本シミュレーターに実際の条件を入れたときに何がどう動くのかを、3つのケースで追いかけます。以下の金額はすべて本ツールが表示する試算値であり、勤務先の退職金規程による実額ではありません。
ケース1:大学卒・製造業・従業員100〜299人・勤続30年
- 最終学歴大学・大学院卒
- 業種/会社規模製造業/100〜299人
- 勤続年数30年
- 厚生労働省調査の勤続30〜34年帯の平均値がベースとなり、退職金相場は
1,787万円。製造業も従業員100〜299人も本ツールでは基準値のため、補正はかかりません。 - 退職所得控除は勤続20年超なので
800 + 70 ×(30 − 20) = 1,500万円 - 課税退職所得は
(1,787 − 1,500) ÷ 2 = 143.5万円 - 所得税(復興特別所得税込み)は
約7.3万円、住民税は143.5 × 10% = 約14.4万円
手取りの目安 1,765.3万円(税負担は合計21.7万円)
1,787万円を受け取って税金が約21.7万円、負担率にすると約1.2%です。同じ1,787万円を給与や賞与として受け取った場合とは比べものにならない軽さで、これが退職所得控除と1/2課税の効果です。
ケース2:同じ勤続30年でも金融業・1,000人以上ならどう変わるか
- 変更点業種を金融業・保険業に
- 変更点会社規模を1,000人以上に
- 勤続年数30年(ケース1と同じ)
- 本ツールは業種と会社規模を掛け算で補正します。金融業は+20%、1,000人以上は+15%なので
1,787 × 1.20 × 1.15 ≒ 2,466万円 - 退職所得控除は勤続年数だけで決まるため、ケース1と同じ
1,500万円のまま動きません。 - 課税退職所得は
(2,466 − 1,500) ÷ 2 = 483万円となり、所得税の税率区分が5%から20%の帯に上がります。 - 所得税は
約55万円、住民税は483 × 10% = 約48.3万円
手取りの目安 2,362.7万円(税負担は合計103.3万円)
退職金は679万円増えましたが、税負担は21.7万円から103.3万円へと81.6万円増え、手取りの増加は597.4万円にとどまりました。増えた分の約12%が税金に回った計算です。控除額が勤続年数だけで決まる以上、退職金が大きい人ほど控除を使い切って累進税率の影響を受けます。それでも負担率は約4.2%で、通常の所得と比べればはるかに低い水準です。
ケース3:勤続19年・20年・21年 — 退職所得控除の「20年の壁」
退職所得控除は勤続20年を境に計算式が変わります。大学卒・製造業・100〜299人という同じ条件で、勤続年数だけを19年・20年・21年と動かすと次のようになります。
| 勤続年数 | 退職金相場 | 退職所得控除 | 課税退職所得 | 手取り目安 |
|---|---|---|---|---|
| 19年 | 962万円 | 760万円 | 101.0万円 | 946.7万円 |
| 20年 | 1,054万円 | 800万円 | 127.0万円 | 1,034.8万円 |
| 21年 | 1,133万円 | 870万円 | 131.5万円 | 1,113.1万円 |
控除の増え方が 年40万円 → 年70万円 に切り替わる
19年から20年へは控除が40万円しか増えませんが、20年から21年へは70万円増えます。勤続21年以降は1年勤めるごとに70万円ずつ非課税枠が積み上がるため、勤続20年前後で転職を考えている場合、あと1年在籍するかどうかで税引き後の手取りが変わってきます。
入力時の注意:実際の退職所得控除の計算では、勤続年数に1年未満の端数があるときは1年に切り上げます。勤続20年3か月なら21年として扱われるため、本ツールにも「21」と入力してください。本ツールは入力された年数をそのまま使うので、切り上げは利用者側で行う必要があります。
なぜ退職金の税金は安いのか — 退職所得控除と1/2課税
退職金が税制上優遇されているのは、長年の勤労に対する報償的な性格を持ち、かつ退職後の生活資金という位置づけがあるためです。優遇は3つの仕組みで成り立っています。
1つ目が退職所得控除です。勤続20年までは1年あたり40万円、20年を超えた分は1年あたり70万円が非課税枠として積み上がります。勤続40年なら 800 + 70 × 20 = 2,200万円 まで税金がかかりません。ケース1で退職金1,787万円に対して税金が21.7万円で済んだのは、その大半(1,500万円)が控除で消えたからです。
2つ目が1/2課税です。控除を引いた残りをさらに半分にしてから税率を掛けます。ケース2では退職金2,466万円から控除1,500万円を引いた966万円が、半分の483万円になってはじめて課税対象になりました。この時点で適用される所得税率の区分も下がるため、二重に効いています。
3つ目が分離課税であることです。退職所得は給与や年金など他の所得と合算されません。退職した年に給与も受け取っていても、その給与に退職金が上乗せされて税率が跳ね上がる、ということは起こりません。
本ツールが「退職所得控除額」「課税退職所得」「所得税」「住民税」を分けて表示しているのは、この3段階のどこで金額が削られているのかを目で追えるようにするためです。控除額が退職金を上回っていれば課税退職所得は0となり、所得税・住民税とも0円になります。
試算結果をどう使うか — 退職前後にやること
まず「退職所得の受給に関する申告書」を出す。これは退職金を受け取るまでに勤務先へ提出する書類です。提出していれば退職所得控除が適用されたうえで源泉徴収され、原則としてそれで課税関係が完結します。提出しないと控除が適用されないまま一律の税率で源泉徴収され、払いすぎた分を取り戻すには自分で確定申告をする必要があります。用紙は勤務先から配られることが多いですが、案内がなければ人事・総務に確認してください。税率の詳細は国税庁の該当ページをご確認ください。
同じ年に複数の退職金を受け取る場合は申告書に記載する。転職に伴って前職からも退職一時金を受け取っている、あるいは確定拠出年金を一時金で受け取っているといったケースでは、退職所得控除の計算で勤続期間の重複を調整するルールがあります。申告書に前の受給内容を書く欄があるので、記入漏れがあると後で修正が必要になります。iDeCo や企業型確定拠出年金の一時金と会社の退職金を近い時期に受け取る予定がある場合は、受取時期によって控除の使い方が変わるため、金融機関や税理士に確認しておくと安全です。
本ツールの数字は「規程を確認するための当たり」として使う。試算結果と勤務先の退職金規程を突き合わせ、大きく差があるならその理由(ポイント制なのか、自己都合減額なのか、そもそも制度がないのか)を人事に確認します。退職金は法律上の支払い義務がある給付ではなく、規程があってはじめて請求できるものです。就業規則・退職金規程の該当箇所は、退職を決める前に読んでおいてください。
退職後の社会保険料・住民税も一緒に考える。退職所得は分離課税なので他の所得と合算されませんが、退職の翌年度に届く住民税の納付書や、国民健康保険に切り替えた場合の保険料は、退職前年の所得をもとに計算されるため負担が重く感じられることがあります。退職金の手取りをすべて使う計画を立てる前に、この時間差を見込んでおきましょう。具体的な保険料の算定方法は自治体ごとの運用があるため、お住まいの市区町村にご確認ください。
陥りやすい誤解
- 「相場」は自分がもらえる金額ではありません
- 本ツールが表示するのは統計上の平均に補正をかけた参考値です。退職金の支払いは法律上の義務ではなく、勤務先の退職金規程が定めた計算方法(基本給連動型・ポイント制・定額制など)で決まります。制度そのものがない会社もあります。最終的な根拠は規程であって統計ではありません。
- 自己都合退職でも同じ額がもらえるとは限りません
- 多くの会社では自己都合退職の場合に支給率を下げる規定を置いています。本ツールの数値は定年・会社都合を想定した平均をベースにしているため、自己都合で辞める場合は結果より1〜3割程度低くなることがあります。実際の支給率は規程の支給率表で確認してください。
- 退職所得控除は「退職金の額」ではなく「勤続年数」で決まります
- ケース1とケース2は退職金が1,787万円と2,466万円で大きく違いますが、控除額はどちらも1,500万円で同じです。勤続年数が同じだからです。退職金が多い人ほど控除を使い切り、超えた部分に累進税率がかかります。
- 控除を超えた分に、いきなり高い税率が全額かかるわけではありません
- 所得税は超過累進税率なので、区分をまたいだ部分だけに高い税率が適用されます。しかも退職所得は控除後の金額をさらに1/2にしてから税率を掛けるため、ケース2のように退職金2,466万円でも実質的な負担率は約4.2%にとどまります。
- 業種・会社規模の補正はこのツール独自の概算です
- 金融業+20%、1,000人以上+15%といった係数は、調査の傾向をもとに本ツールが設定した概算であり、公式に定められた数値ではありません。同じ業種・規模でも会社ごとの差は非常に大きいため、業種を切り替えたときの変化は「方向性の目安」として見てください。
- 勤続年数=実際に働いた年数とは限りません
- 退職所得控除の勤続年数は原則として勤務先に在籍していた期間で計算しますが、長期の休職期間や、いったん退職して再雇用された期間の扱いは制度や規程によって異なります。ここが1年ずれると控除額が40万〜70万円変わるため、微妙な場合は勤務先に確認してください。
退職所得控除の計算方法
| 勤続年数 | 退職所得控除額の計算式 | 計算例 |
|---|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 勤続年数(最低80万円) | 10年 → 400万円 |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年) | 30年 → 1,500万円 |
障害者になったことが直接の原因で退職した場合は、上記金額に100万円が加算されます。
退職金にかかる税金の計算方法
- 退職所得 = (退職金 − 退職所得控除額) ÷ 2
- 退職所得に対して所得税率(総合課税と同じ速算表)を適用
- 復興特別所得税 = 所得税 × 2.1%
- 住民税 = 退職所得 × 10%
- 手取り = 退職金 − 所得税 − 復興特別所得税 − 住民税
退職所得は分離課税のため、他の所得(給与・年金等)とは合算されません。
業種・会社規模による補正係数について
本ツールでは基準データ(大学卒・管理事務技術職の平均値)に対して以下の補正係数を適用しています。
| 業種 | 補正係数 |
|---|---|
| 金融業・保険業 | +20% |
| 情報通信業 | +15% |
| 製造業 | 基準値 |
| 建設業 | −5% |
| 医療・福祉 | −10% |
| 卸売・小売業 | −15% |
| その他・サービス業 | −20% |
| 会社規模 | 補正係数 |
|---|---|
| 1,000人以上 | +15% |
| 300〜999人 | +5% |
| 100〜299人 | 基準値 |
| 30〜99人 | −15% |
よくある質問(FAQ)
- 自己都合退職と定年退職で退職金は変わりますか?
- 一般的に、自己都合退職は定年退職に比べて退職金が少なくなります。就業規則によって差が設けられており、自己都合の場合は7〜8割程度になるケースが多いです。本ツールは定年・会社都合退職を想定した平均値をベースにしています。
- 確定拠出年金(DC/iDeCo)は退職金に含まれますか?
- 確定拠出年金の給付も退職所得として取り扱われ、退職所得控除の対象になります。ただし一時金で受け取る場合と年金形式で受け取る場合で課税方法が異なります。
- 中小企業退職金共済(中退共)とは何ですか?
- 中小企業退職金共済(中退共)は独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する退職金共済制度です。会社が毎月掛け金を拠出し、退職時に退職金として給付されます。中退共からの退職金も退職所得控除の対象です。
- このシミュレーターの数値はどこから来ていますか?
- 厚生労働省「令和4年(2022年)就労条件総合調査」の退職給付(一時金・年金)制度における勤続年数別の平均退職給付額をベースにしています。業種・規模補正は同調査の傾向をもとに概算値を適用しています。
参照データ・免責事項
免責事項:本ツールの計算結果は統計データに基づく参考値です。実際の退職金額は勤務先の退職金規程・退職理由・評価等によって異なります。税金の計算は概算であり、実際の納税額は個人の状況によって異なります。正確な情報は勤務先の人事担当・税理士・社会保険労務士にご確認ください。